運行整理について

 今月は鉄道の運行整理について話したいと思う。
 皆さんはおそらく毎日、どこかの鉄道を使っていると思う。人身事故などで運転を見合わせるといらいらするでしょう。先月の湘南新宿ラインの提示運行は過去最悪で、完全定時運行が06日、支障等が発生した日が25日。あきれるほどである。このうち、湘南新宿ラインが走る東海道・横須賀・山手貨物・東北貨物・宇都宮・高崎線以外での支障から遅れや運休になるケースがある。また運用の都合で運休になることもたびたびあった。
 さて、鉄道会社で運行整理の仕方によって、走れるところは走れる、止めるには全部止めるというような差がある。 今回はその差について検証したい。
 新聞などで大きく騒がれる「○○線、□時間止まる」という記事を目にした人は多くいると思う。一方で、小見出しで書く場合もある。
 鉄道会社では事故発生時の対応マニュアルというものがある。例えば事故が発生時、すぐに運転再開ができそうにない場合には、振り替え輸送の会社・範囲、折り返し運転のパターン、相互乗り入れの中止、控えの乗務員を交代駅に立たせる、といったようなものがある。もちろん、会社によって様々である。
 在京私鉄のほとんどはとりあえず運転できるところは運転する、というのが原則であるようである。京浜急行のいわゆる「逝っとけダイヤ」がそれである。京浜急行の場合、とにかく何が起きようとも動かせられるところは動かすが原則である(但し、これには問題もあって駅員に「次のは何処行きですか」と聞いても「わからない」となったり、乗務員の負担が大きかったり)。
 マニュアルの内容次第や線路条件(例えば折り返し設備)の関係などでまったく動かさない鉄道会社もある。典型的なのはJR東日本である。例えば、06年に東海道横須賀線横浜駅上り出発信号機が故障しました。東海道線横浜駅下り方には折り返し設備があり、大船方からは電車が入れるので運転中止は東京ー横浜間でいいはずである。しかし、どうなのか知らないが一切動かさない。4時間ぐらいしてようやく再開である。これが会社間での差である。
 私鉄はある程度努力しているのに対して、なぜJRだけが動かないのか。一つには乗務員区にある。乗務員は各支社に属する区所に配属されている。その区所では運用範囲が決まっており、範囲越えは認められていない、というよりは運転ができない。JRは沿線に数種の乗務区を抱えており、それぞれが担当している。運用変更などでは区所から命じられるので、勝手に指定外の列車には乗務ができないのである。運用整理の際に乗務員の配置が面倒になる。
 現在、JR東は「運用トータル管理システム」を総武緩行線をモデル線区に実証試験を行っている。これは運用変更案の作成をより迅速且つ自動で伝達するものである。通告システムをTIMSを介して行い、乗務員にはICカードと乗務員用携帯情報端末を持たせ、運用変更を知らせる。なお、この詳細はJR東日本のホームページ内にある解説記事を参照ください。
 ただし、あくまでもまだ実験段階であり、運用が乱れた際にすぐに再開するには至っていない。いわゆる区所問題の根本的見直し、特にすべての区所が管轄する路線全線全車両を運転できるようにならなくては行けないと思う。もちろん区所を廃止するのは明らかにタブーであり、たとえ一つにしても運転再開が容易となるかというとそうではない気がする。
 また、車両形式での運用問題も一部あり、例えば中央快速線であれば、10両固定編成と6+4両の分割編成があり、運用が狂うと直通運転ができなくなる。本来、すべての編成が分割可能編成であればいいのであるが、なぜか201系の固定・分離編成を受け継いでいる。
 運転できるところでも止めてある現状ははなはだ気に入らない。やはり輸送確保(もちろん安全第一ではあるが)に努めるのは鉄道会社の務めではないだろうか。
 次回は会社間競争について語りたいと思う