6月22日の架線破断

 先月、7月は会社間競争についてのレポートを発表しましたが、6月22日に架線破断が発生したのでそのことについてのレポートに変更します。
 先月22日、高崎線の上り普通列車が停止現示の約90m手前に停車、最後尾15号車上のパンタグラフがエアセクション内にひっかかり、大電流が流れて切断となった。結果的に、高崎線宇都宮線湘南新宿ラインが終日ダイヤ乱れになるなど影響は18万5千人(発表値。ただし、これより多い模様)に達した。また、京急がまた振り替えに伴う多客で遅れが発生、りんかい線もダイヤ乱れとなった。
 エアセクションについては今回、マスコミが早い段階で図解などで説明をしたのが評価できる。エアセクションについては次のところを参考してほしい。
JR東日本公式
http://www.jreast.co.jp/
http://www.jreast.co.jp/development/theme/safety/safety15.html
(アークによるトロリ線溶断現象の解明)
 今回の事故で運転士がエアセクション内に列車を止めたことが原因とされているが、実際は違うのではないかと思っている。停止位置から71m先に「エアセクション外停止位置」の表示板がある。さらにそこから19m先には信号機が設置されている。列車の運転士としては列車をできるだけ止めずに数km/hでもいいからゆっくりと信号機に近づき、現示アップを待つというふうに考えるのが自然であり、実際に当該列車も時速数kmで進行していたのではないかと思う。停止現示90m手前で止まるのは不自然である。また、ATS-Pのパターンに触れないように手前でかなり速度を落とし、進むのもどの運転士がやっていることである。


 もう一つは信号機の位置が原因ではないかと思う。エアセクションは基本的に閉塞の真ん中に設置するのが原則であり、信号機や駅付近には設置しないことになっている。今回は信号機19m手前までセクションになっているなどセクション、または信号機の位置に原因があったと考えるのが自然である。
 また、JR東日本の組織をかばい、運転士個人の責任にするようなやり方にも少々不愉快である。体質としては東西含めて共通のようである。
 さらに、旅客救護にも時間がかかり、30人以上が搬送される事態となった。国土交通省関東運輸局も事態を重く受け止め文章による厳重警告を行った。JR東日本の大トラブルは昨年が5件、今年も1件発生している(日本経済新聞22日夕刊より)。つまり約3カ月に1回程度で発生しているのである。また、このレポートの運行管理について述べたように走れるところは走るという大原則がまた行われなかったのである。終日ダイヤ乱れという以上事態にJRにはハード面だけでなくソフト面にも手を入れてほしい。尚、影響が広がった理由の一つに旅客によるDコックを扱ったことは何とも言えない(一部によると、車掌が「換気のために窓をあけてください」を「換気のためにドアをあけてください」と言い間違え、その指示によってドアをあけた乗客がいると言われている)。しかし、事故発生が7時55分、救済が始まったのが9時20分頃からである。状況判断のまずさは東日本はひどすぎる。まず状況確認、送電再開はできるか、運行停止は長期か短期か、救済は必要か否か、これだけで約30分で済むはず。そこで駅員を向かわせれば9時前には救護開始ができ、30人以上が搬送されるという事態を最小限にできたはずである。また、情報提供が下手で、旅客一斉放送などを活用しても繰り返しが多く、復旧見込みが立たない、線路内に降ろすな、と繰り返すばかり。発生15分後にDコック扱いを考えれば情報提供をもっとしっかりするべきである。と同時に、旅客に対して、勝手に降りると轢かれてしまうということも合わせて周知させるべきであった。
 今後、JR東日本がどれだけ迅速且つ的確に判断し救済できるかがカギである。
 なお、来月は今月予定してました、会社間競争についてを予定していますが、変更する場合もあります(とりあえず原稿はできてます)。
 後記:6月29日に再発防止策が発表されました。
JR東日本公式
http://www.jreast.co.jp/
http://www.jreast.co.jp/press/2007_1/20070609.pdf

電車線区分標


セクション外停止位置票


京急の電車線区分標
JRもこのタイプを導入する模様。

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東急の電車線区分標