鉄道自殺防止について

 最近、首都圏の鉄道各社で人身事故が多発している。大抵は列車への飛び込みである。鉄道自殺を防止するために鉄道各社が対策を打ち出している。

 まず青色照明をホーム始端に設置することである。青色は人を落ち着かせる効果があるとされている。しかし、自殺するものは必ずしもホーム始端で飛び込むというわけではなく、特に通過列車であればホーム中央・終端で飛び込んでも変わらないのであり、効果には疑問がある。また日中は太陽光によって照明効果が薄くなるため、やはり効果が薄く感じられる。

 ホームドアについて。現在東京メトロ南北線・丸の内線などで導入されているホームドア。種類としてフルスクリーンタイプと可動式ホーム柵の2種類が日本国内で利用されている。自殺対策としてはホームドアは一番有効と考えられているが、設置コスト・運行密度・車両の問題で各社導入に難色を示している。また、可動式ホーム柵の場合は柵を越えて線路内に入れるため、完全な防止策とはならない(JR東海の社員が新横浜駅で飛び込んだ際も可動式ホーム柵を越えて軌道上に入った)。

 そして仮にホーム上からの飛び込み防止を完璧にしたとしても、踏切での自殺が増加するだけである。地下鉄や新幹線など一部を除いて各線に踏切があり、目前を100キロぐらいのスピードで列車が通過する。そう考えれば自殺防止を駅に集中投資するのは若干疑問を感じる。

 よく鉄道自殺をすると損害賠償を払わさせられるという。振替乗車一つにしても一人300円として2万人で600万円になる。実際はもっと影響人員がいる他、車両破損などでさらに徴収される。一方で終電間際に飛び込めばタクシー代の請求も来ると思われ、一人1万円*1000人で1000万円である(あくまでも概算で、請求については鉄道各社の判断による)。つまりは鉄道自殺の代償は相当のものであり、飛び込み自殺をするのに見合う代価ではない(これで死にきれなかったらもっと悲惨である)。

 結論を言えば、鉄道自殺をしないような経済や社会を作ることが先決である。くれぐれも自殺はしないようお願いしたい。