台湾高鐵破綻濃厚について

台湾高速鉄道は、建設当初の資金の借り入れ利息、巨額の減価償却費用が経営を圧迫し、今年3月にも経営破たんする恐れがある。しかし、台湾高速鉄道がまとめ、交通部が立法院に送っていた財務改善案は7日、与党・国民党の立法院党団が反対したことで、立法院での承認の見込みがなくなった。このため、経営破たんの可能性が極めて高くなっている。
(Radio taiwan international、2015年1月8日「台湾高鉄破綻濃厚で、葉・交通部長、辞意表明」)


 さて、台湾高鐵は2007年に開業し、2014年11月は運行本数4125本(1日あたり137本)、乗車人員は4,018,332人(1日あたり133,944人)が利用する台湾の南北を結ぶ大動脈となっている。しかし上記の理由に今年中に経営が行き詰まる可能性があるという。累積赤字は535億元(但し報道機関によって522億元であったり470億元であったりとするが)ではあるが、今後新駅開業や南港延伸などで財務状況の悪化の懸念はある。
 個人的な感想であるが、台湾高鐵は運賃が安いと思う。現在台北〜高雄間は、4時間半以上で結ぶ台鐵自強号は843元である。一方で最速1時間36分で結ぶ高鐵は片道指定席で1,630元(日本円で約6,000円)、自由席で1,580元となっている。しかし乗車5日前までに指定券を購入すると10%、20%、35%割引になる「早鳥優惠」というものがある。全列車で適用されているわけでなく混雑時間帯は割引無しや割引率が低く設定されている。35%割引の場合、台北〜高雄間で1,055元(約3,900円)となる。しかし2011年に開業5年で黒字化を達成するなど経営は順調に思える。しかし、償還や新規開業に伴う支出の増加に耐えるにはこれまで以上の収益増をしなければならず、台湾高鐵にとっては大変苦しいところである。鉄道営業以外に収入に乏しく値上げなどの抜本的な改革に動かなければならないと思われる。(ただし運賃の値上げは利用者離れを招きかねない。)
 財務改善案が1月7日に議会で否決されたことでますます厳しくなった台湾高鐵の経営を利権ではなく国民の利益になるよう救済されることを願う。


引用・参考
台湾高鉄破綻濃厚で、葉・交通部長、辞意表明
http://japanese.rti.org.tw/news/?recordId=18339
交通部:台湾高鉄破綻なら6月末までに政府引継ぎ(2015-01-08)
http://japanese.rti.org.tw/news/?recordId=18338